『ナイトウォッチ』
ロシア産のSF映画『ナイトウォッチ』を観た。
- 作者: セルゲイ・ルキヤネンコ,法木綾子
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ロシアSFと言えばタルコフスキー(『惑星ソラリス』『ストーカー』など)の押井守を10倍眠くしたような映画とか『火を噴く惑星』みたいないかにもなものなど、癖のある作品しか記憶に無いのだが、この『ナイトウォッチ』はどっちかというとハリウッド寄りなエンターテイメント作品にしようと頑張っている。とはいえ、素直なハリウッド映画になっていないところがまあ見所といえば見所。
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内容は、簡単に言うと、『マトリックス』+『ハイランダー』+『バンパイアモノ』といった感じ。
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はるか昔から光と闇の軍勢に別れて戦ってきた異種の者達は、昼は光の者達を監視する闇のデイウォッチ、夜は闇の者達を監視する光のナイトウォッチによって均衡を保っていた。その均衡が新たに現れる異種がどちらの軍勢に味方するかによって崩れるという予言が現代の世で実現しようとしていた…というようなストーリー。
CGやカメラワークを駆使した映像はなかなかすごいのだが、そのセンスはやや古く、デビッドフィンチャー監督の『ファイトクラブ』のようなどうでもいいところがスローになったりカメラが狭いところに入り込んでいくような映像が多用されている。
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それにしても、よれよれしたキャラがぐだぐだしているのがカッコいいというセンス自体がもうかなり古いと思うんだけどなぁ。
『マトリクス』を思わせるシーンから始まる前半は非常にテンポも良く、面白いのだが、後半は破綻した物語と後付けに次ぐ跡付けでなんだか良く分からなくなってくる人物設定で正直面白くない。予言のキーとなる女の呪いの原因とか、相当アホくさい。よくこれが大ヒットするなロシア。
キャラクターは、虎に変身する女や呪いが解けてフクロウから人間になる女、緊張感のある闇の住人たちなどなかなか面白い要素も多く、ファンタジーテイストのSFというところでハリウッドではあまりお目にかからない設定というところでもあり、これはこれで存在意義はあるのかもしれない。絵作りの面でも、異種の人間だけが存在できる異界を蚊の飛び交う場所として描くという変わった演出で描いたり、やや青みがかった映像なども印象的だった。
ということで2作目は映画館で見るまでもないかな。