『マッドマックス』3部作

アマゾンのマーケットプレイスで、今は絶版となってしまった『マッドマックス』DVDBOXを見つけたのでつい購入してしまった。

マッドマックス2 [DVD]

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まあDVDBOXといっても3本が同じデザインの装丁でひとつの箱に入っているだけなのだが…。

この映画、初めて見たのは中学生の時、もう15年も前になる。その当時ハマりまくって何度もビデオをレンタルしたことを覚えている。同じ世代の方なら大体そうだと思うが、ご多聞に漏れず、核戦争後の荒廃した世界で革ジャン着た男が闘うといえば『北斗の拳』であり、本来のオリジナルであるところの『マッドマックス』は『北斗の拳』を実写にしたかのような世界観という、なんとも申し訳ない入り方ではあったのだが…。

北斗の拳―完全版 (1) (BIG COMICS SPECIAL)

北斗の拳―完全版 (1) (BIG COMICS SPECIAL)

『マッドマックス』一作目は正直そんなに好みな映画ではなかった。

ただ暗いだけで、カタルシスも、後の2作で見られる突き抜けたキャラクターもおらず、妙にバイオレンスが生々しいところもそれほど楽しめなかった。ただ、今になって改めて見直してみると、そのアクションシーンの激しいスタントに驚愕する。ライナーノーツにもあるが、8人のスタントマンのうち、3人が重体、2人が死亡というデータが、その激しさを物語っている。確かに見ていて、ここは死んでるんじゃないのか?と思うところがいくつか見受けられる。よく見ると人形使ったりカットを割ってうまく見せていたりするところも多いのだが、多分製作者側が意図しなかった、言わば撮影中の事故ではないかとしか思えないようなアクションシーン、例えばバイクで転んで地面に落ちたライダーの後頭部に後ろから横倒しになったバイクがものすごい勢いでぶつかるシーンなんかは直視できない痛々しさがにじんでいる。CG全盛の今、同じシーンが最新の映画であったとしても、もはやそれはCGであり、デジタルで加工されたことが明白なわけで、正直なんの感動も無いのだが、そんなデジタル技術の無い20年以上前の映画でのそういうシーンには本物だけが持つ強烈なインパクトがある。全然違う映画だが、『マッハ!』(!何個か忘れた)を初めて見た時も本当の人間がやっているアクションのすごさを久しぶりに再認識したが、『マッハ!』はあまりに主人公のトニージャーの動きが曲芸じみてすごいのでそこに目を奪われて、肘がモロに頭に入ってもそんなに凄惨さはないのだが、『マッドマックス』のアクションはただのリアルな交通事故だったり、武器で思いっきり殴っているだけだったりするので逆にものすごく凄惨な感じを醸し出している気がする。サムペキンパーの映画なんかもコレに近いものがありますが。

そして『マッドマックス2』だが、ここで、あの『北斗の拳』にインスピレーションを与えたであろう荒廃した近未来で繰り広げられるぶっ飛んだキャラクターによるバイオレンスアクションという新しい世界観が作り上げられたといえるだろう。革ジャンと肩当とボロ布やレザーアイテムを組み合わせたコスチュームデザインは今見ても十分にカッコいい。キャラクターも、筋肉ムキムキアメフトマスク男とか、ガリガリの変態飛行機乗りとか、ブーメラン小人とか多種多様で見ているだけで面白い。最後に繰り広げられる長丁場のカーアクションの構成もスタントもすばらしいの一言。

そして3作目の『マッドマックスサンダードーム』。

マッドマックス~サンダードーム~ [DVD]

マッドマックス~サンダードーム~ [DVD]

これは賛否両論な作品で、世間での評価はやや否定的な印象が強いのだが、個人的には大好き。いやもう最高です。
タイトルにもなっているサンダードームというのは、物語の舞台となる砂漠の町バータータウン(交換の町)にある、争いごとに決着をつけるために一対一で闘う闘技場のこと。伸びる紐で体をドームに結び付けられた2人がその紐の反発を利用して宙を舞いながらアクロバティックに闘う様は非常に面白い。三作目だけ、妙に笑える演出が多いのだが、これがなんともいい味を出している。チェーンソーを手に入れたはいいが、うまくエンジンがかからず、大男に追いまわされたりといったジャッキーチェンのようなシーンが随所に入っていてこれも楽しめる。まあ前2作のような壮絶なバイオレンスアクションを期待していた方々には、こういったコメディっぽいノリがまた嫌われる要因ともなっているようだが…。

まだいくらでも書くことは尽きないのでキリが無いので今日はこの辺で。
それにしても、今見てもこんなに面白いこと自体が凄いことなのだが、それどころか正直、最近公開されたどの映画よりも面白いと思ってしまた。