『ブレインストーム』

ちょっと間があいてしまった。なんだかここのところ、マニアックな映画ばかり紹介しているような気がするが、もう少ししたらまた最近の映画を追っかける方に戻る予定なのでもうしばらくお付き合いください。

頭につけた装置で記憶を記録し、それを他の人間が5感をフルに使って追体験することができるという夢のデバイスを巡る物語『ブレインストーム』。

ブレインストーム [DVD]

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パッケージの若々しいクリストファーウォーケンを見ても分かるとおり、結構古い映画。コンピューターの描写なども、さすがに紙テープにパンチとまでは行かないまでも、受話器を置くタイプのモデムや古臭いモニターなど、時代を感じさせる。ただし、記録メディアはテープなのだが、金属的なテープに光学的に記録しているかのような面白いデザインの装置となっている。

物語の方は、画期的な装置を軍が横取りしようとして、それに対抗しようと、主人公の研究者が頑張るという話なのだが、どうも製作者側も素直にサスペンスやミステリーなどの枠にはめたくなかったのか、軍もその装置を使って何をしたいのか不明だし、主人公も最終的に何をしたかったのかよく分からない展開となっており、開発者の女性研究者も陰謀と関係なく持病の発作でいきなり死んでしまったりと、物語自体は迷走してしまっている感じ。
ただ、記憶を再生する過程の演出や、ネット越しに記憶のバーチャル世界にダイブするような演出は後年の『マトリックス』を思わせる非常に現代的な映像を作り出していて興味深い。

まあ正直もう少し素直に陰謀モノ&犯人探しのミステリーのような定型の仕立てにした方がメジャー足りえたのかもしれないが、この時代にこのネタという点において、他はどうでもよいと思わせるだけの斬新さがあるのは確か。
それはそうと、優秀な研究者であるところのクリストファーウォーケンのキータイプが両手のひとさし指を使ったたどたどしいタイピングというのはさすがに笑ってしまう。