『宇宙戦争』 『フォーガットン』

今ごろになって『宇宙戦争』を借りてみた。

宇宙戦争 [DVD]

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見た人達からさんざ話は聞いていたが、結局のところ原作や
宇宙戦争 (1953) スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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と同じオチだと聞いたことが致命傷となり、劇場で観るには至らなかった。(このネタバレはもう大丈夫でしょ?)まあ内容的にそんなに悪くないし、映像は素晴らしいので劇場で観ておけば良かったとも思った。というかむしろ「劇場で観ないと価値が無い」という最近のハリウッド大作映画定番の代物なのだが。トムのダメ親父っぷりとか、役作りなのか怠けただけなのか体型も結構崩れてて、わりとリアルで、トムってホントにこんな奴なのかもとも思えたりした。
企画意図的には普通の人が大災害に巻き込まれる状況自体を描きたかったんだろうが、それにしてもキャラクタ設定があまりにも生かされていなかったりしすぎ。例えば冒頭の凄腕クレーンオペレーターっていう設定も伏線かと思いきや、見事なまでに無視するっていうのも逆にすごいなと思った。
トライポッドもデザインを公開ギリギリまで隠していたからどんなのかとちょっと期待していたが、普通のいわゆるトライポッドだったので残念。今となっては実写版『HALF-LIFE2』といった方がしっくり来る。
ハーフライフ 2 日本語版 (CD)

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トライポッドの登場シーンで地面を割ったり車ふっ飛ばしたりしながら暴れまわるシーンとか映像的には凄いけどね。
映画としては、雷に乗って地球に落ちてくる宇宙人が地中に大昔から埋まっていたメカに乗って地球を襲うって何じゃそら?みたいな内容なんだが、視点を一般人(トム)に固定してトムの見てないことは観客も知らないというような作りになっているので、トムの知りえない裏の設定等はあまり説明されないという構造がアラの大半を隠蔽しててうまいなーと思う。大阪でトライポッド倒したという台詞は何のために入れたのか気になるが。タダの日本びいき?
演出はさすがこれでハリウッドのトップに上り詰めただけあって、今回もスピルバーグ先生本領発揮なシーンがいくつかある。トム一家が乗る車にゾンビのごとく詰め寄って車を奪おうとする群集とか、イキナリ遮断機が下りて炎に包まれた暴走列車が凄いスピードで通り過ぎるとか、小屋の中で宇宙人に見つかりそうになって隠れるシーンとかね。宇宙人のデザインにはハリウッドの限界を感じたが。インデペンデンスデイとほとんどおんなじだもんな。またタトプロスなのかな。
マーズ・アタック! [DVD]

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で結局のところ、オチが一番ガッカリなわけだが、もはや『マーズアタック』みたいな原作をパロったオチの映画まである(といってもコレも随分前だが)ような時代にそのままやるとは思わなかったが、これ以上のいいオチが思いつかなかったのかな。内容自体も時代設定以外はかなりウェルズの原作
宇宙戦争 (創元SF文庫)

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に忠実だし。変えたら変えたで、アタマの硬いSFファンは怒りそうだしなぁ。これ観に来る多くの客はこのアトラクション的な映像だけで十分満足なんだろうしね。正しい選択なんでしょうが。そもそもスピルバーグ的には、今の映像技術で派手なアトラクション映画が作れる題材として選んだだけのように見えました。

で、今回、『宇宙戦争』と一緒に借りたのが『フォーガットン』。

主人公の女性は自分の息子を飛行機事故で亡くし、悲しみに暮れていたが、ある日を境に周囲の人間が、彼女には息子なんてそもそも存在しなかったと言い始める。そんなバカなと、必死で息子が実在した痕跡を探るうちに大きな陰謀に気付き始め…。といったストーリー。主演のジュリアンムーアは『ジュラシックパーク』、『羊たちの沈黙』という好きな作品の2作目でそのシリーズを台無しにしてきた実績から大嫌いな女優さんなわけですが、あらすじ見てみると、今度公開される『フライトプラン』という、最近ちょっと気になっている映画に似てるなと思ったので、借りてみることに。
フライトプラン (〔洋画文庫〕)

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奇しくも、『フライトプラン』で主演するジョディフォスターが、『羊達の沈黙』
羊たちの沈黙〈特別編〉 [DVD]

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の続編『ハンニバル』に出なかったので、ジュリアンムーアが出た(そしてダメだった。そりゃそうだ。ジョディフォスター以外は誰がやってもダメ)という経緯があったりして勝手に興味深い。ちなみに『ジュラシックパーク』の続編『ロストワールドのジュリアンムーアが何でキライかというと、単純に演じているキャラクターが心底嫌いだから。こんなに早く死なねーかなと思ったヒロインは『ガンダム0083』のヒロイン、ニナパープルトン以来。
それはそうと、なんで『宇宙戦争』と『フォーガットン』を同じ項で紹介するかと言うと、どちらも○○○モノだから。(もうネタバレしてるのと同じだが、一応伏字にしておく)これも別にオチでビックリみたいな映画ではなく、わりと冒頭からそういう空気になってくるのだけれど。
まあネタはしょうもないが、いきなり人が○○○○という映像はかなりのインパクトだった。こういう超常現象をきっちりした映像でリアルに描くというのは好みだな。まさかそんな映画だとは思わなかったので、逆に楽しめました。