『ステルス』

スルー予定だった『ステルス』だが、DVDを会社でタダで借りられたので見てみた。

良くも悪くも予告編の印象そのまま。ストーリーもほぼ予想通りの展開。さすがに北朝鮮侵略するとは思わなかったが。
超高性能AI戦闘機が知性と感情を芽生えさせるというストーリーは神林長平作『戦闘妖精雪風』を思わせる。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)

まあ傑作SFであるこちらの小説と比べると『ステルス』のなんと薄っぺらいことか。落雷を受けてAIが知性を獲得するというネタもすごい。『火山高』という韓国のドバカなアクション映画の主人公も落雷で超能力に目覚めるという設定だったな。
火山高 [DVD]

火山高 [DVD]

多分GONZO制作のアニメ版『雪風』でも見たハリウッドの脚本家がテキトーにパクったんでしょうかね。
戦闘妖精雪風 OPERATION 1 [DVD]

戦闘妖精雪風 OPERATION 1 [DVD]

このアニメ版も小説をうまく映像化していてなかなか良いデキ。すごい勢いではしょりまくるところがご愛嬌だが。あとホモくさい演出も鼻につくけど。まあGONZOの大人向けアニメは皆なにかしらホモっぽい気がする。
それはそうと『ステルス』。ステルスなだけに、隠密行動で色々カッコいい演出があるのかと思いきや、ステルス機能なんか全くフィーチャーしてなかったり(後半のアクションシーンは脱出の際の火災でステルス機能が無くなったという説明があった。なんだそりゃ)、動くとまずい機械のはずなのに燃料が満タンになってたり色々笑えるわけだが、CGはもの凄い。もう実写。このクオリティで『雪風』映像化して欲しいよ。メイキングを見ると実写のガジェットとCGを効率よく組み合わせて高品位な映像をコストを抑えて制作するという、ハリウッドの蓄積されたノウハウの厚みを感じることが出来る。そう、しょうもないハリウッドアクション大作映画のDVDは本編よりメイキングの方が面白いというお定まりの例にもれず、この映画のメイキングもなかなか面白い。監督のロブコーエンの職人気質なコメントや現場を上手く盛り上げるさまも大したもの。これだけの人が作ってもこんな内容なのだから映画作りって難しいんだなと妙に納得してしまう。要所要所でいい事言ってます。このおっさん。なかなか勉強になりました。過去に制作を担当した『バトルランナー』でカメラ壊した話とか興味深い。
バトルランナー [DVD]

バトルランナー [DVD]

ワイルドスピード』も原案から手がけているそうで、スピード狂なのかもしれない。『ステルス』よりは『ワイルドスピード』の方が面白かったなぁ。バカのレベルが全編バランスよくて一貫性があるところが良い。これはオススメかも。曲がりくねった峠じゃなくて直線走ってるだけの『イニシャルD』に刑事モノの要素をプラスしたような内容で、テンポよく最後まで見ることが出来る。