『悪魔を憐れむ歌』 『セッション9』
完全に個人的な趣味の話だが、極端な話、物語のインパクトはオチの強さで決まると思っている。
昔からミステリ小説などではオチ(ネタ)命な作品は多く、一人称の主人公が実は犯人だったとか、男だと思ってたら女だったとか、容疑者が全員犯人だったとか、日本だと思ってたら地球の裏側だったとか、被害者が人だと思ってたら犬だったとか、時計がちょっとだけ早回しになってて1時間たったと思っていたのが実は50分しか経過していなかったとか、どんどんとんでもないことになってきてどうするんだコレと思ったら作中劇だったとか、「キチガイ」だと思ったら「季違い」だったとか、書き出そうと思えばいくらでも書き出せる。(どの作品のことを言っているのか、分かる人には分かると思いますがタイトル書くとネタバレになってしまうので書けません)まあミステリ小説についてはまたいずれネタがなくなってきたら書くことにして、今回はオチのある映画について。
オチのある映画として最近一番引き合いに出される映画はなんといっても『シックスセンス』だろう。残念ながら、これを劇場で観た時は、実は最初の30分くらいでオチの想像がついてしまい、正直オチでそれほど驚けなかった。よく出来た作品だとは思うけど。
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『シックスセンス』以前であればオチの強烈な映画としてよく名前が挙げられていたのは『猿の惑星』だと思う。例えばこの作品を始めてみた観客は最後の最後のあんなシーンが来ると予想してみていただろうか?これで終わりと思った瞬間にあのシーンを見せられた時のインパクトたるやすさまじいものがあったと想像される。あのオチは原作の小説にもない映画オリジナルのものであり、原作を読んでいたとしても予想できなかっただろう。残念ながら、年代的に『猿の惑星』は「オチ」を知ってから見た世代なのだが、これは知らずに見てこのオチは予想できなかっただろう。
そんなこんなで前置きが長くなってしまったが、他にも『アイデンティティ』、『バニラスカイ』、『ヴィレッジ』、『オールドボーイ』などなど、いわゆるオチのある映画についての会話の中でふとしたきっかけから「『エンゼルハート』っていいよね」という話になった。これは今となってはネコパンチでおなじみの(当時はカッコ良かった)ミッキーローク主演のいわゆる悪魔モノであり、いわゆるオチものともいえる。
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というわけで『悪魔を憐れむ歌』。
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これがなかなかシブくまとまっていて面白い。接触によって人から人へ時にはネコへと次々に乗り移っていく悪魔の設定や乗り移られた人が次々にストーンズの『悪魔を憐れむ歌』を歌うという演出も面白い。ただし、これもオチものだと思って見ていたため、オチの予想がついてしまい、残念。まあ冒頭のナレーションが実は…という仕掛けは面白いが。未見の方は一度は見てみると知名度の割に意外と良作なので驚くかもしれない。
もう一つは『セッション9』。
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最後のオチまでうまく緊張感を保って引っ張る演出はなかなかだが、オチでがっかりするパターンだった。『ツインピークス』のローラパーマー編の肩透かしと近い感触といったら分かってもらえるだろうか。古い精神病院の医師と患者のセッションを再生して何かを知ろうとしている男や病院の廃墟をうろつく謎の人物(特典映像で正体が明かされている)や暗所恐怖症などの面白そうなネタが全く生かされずに終わるのが残念。途中までは『アイデンティティ』なオチかと思って見てたくらい、怪しい人物の行動や会話が精神病院に集約していてオチに期待させる作りだったのだが…。
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