『マウスオブマッドネス』

久々にカーペンター映画を見た『マウスオブマッドネス』。

マウス・オブ・マッドネス<dts版> [DVD]

マウス・オブ・マッドネス [DVD]

ストーリーは、サムニール演じる凄腕調査員が、失踪した超人気ホラー作家の行方を追ううちに、その作家の作り出した架空世界に侵食されていくというもの。スティーブンキングの小説を映画化したかのような雰囲気で、まあうまくまとめてある方だと思う。どんどん伝染していく感じが『リング』にも似ていなくも無い。
リング コンプリートBOX [DVD]

リング コンプリートBOX [DVD]

最近こういった系統の映画が少ないのでたまにはこういうのも良い。制作されたのがまだCGが使われることが少なかった時期なので、クリーチャーなどは全て作り物のプロップで撮影されている。これらのデキもアップで止めてみるとアレなデキなのだが、あまり画面に映さないようにしてうまく誤魔化している。『エクソシスト』もどきの逆さ歩き女はさすがに笑ってしまうショボさだったが。
エクソシスト ディレクターズカット版 [DVD]

エクソシスト ディレクターズカット版 [DVD]

最近の映画はCG技術の発展で、よっぽど低予算映画でもない限りはこういったクリーチャーや特殊効果などはことごとくデジタル合成で行われるようになり、一見画面や演出は豪華になったが、その反面、アップにしたときの質感や画面内に居る本物っぽさとか、役者が同じ空間に居ることによって醸し出されるリアル感とか、技術的な制約から一瞬しか映さないことで逆に強い印象を残していた昔のクリーチャーなどに比べると今のCGクリーチャーはどうも物足りないモノを感じてしまうことがある。確かに『キングコング』のように技術の進歩で可能になった映像も多々あるのだが、例えば恐竜の実写映像としては未だに、実物大のT-REXを使用して撮影された、『ジュラシックパーク』の雨の中を車をひっくり返して暴れるT−REXのシークエンスを越えるものにはお目にかかっていない。
ジュラシック・パーク [DVD]

ジュラシック・パーク [DVD]

あまりこういう大括りなまとめ方は好きではないが、技術の制約を逆手に取って知恵を振り絞った演出で、なんとか見たこと無いものを表現しようとしていた時代の映画の方が見るべきものが多い気がするのはもう歳を取った証拠なんだろうか。